炭酸水がeスポーツ中の認知疲労を軽減、プレイ実験でファウル数も減少 ―筑波大学の研究が海外でも話題

炭酸水がeスポーツ中の認知疲労を軽減、3時間プレイ実験でファウル数も減少 筑波大学の研究

⚡ 3行まとめ

  • 筑波大学の研究で、炭酸水が3時間のeスポーツプレイ中の認知疲労を軽減することが示された
  • 通常の水では見られた瞳孔の収縮と実行機能の低下が、炭酸水では抑制された
  • 攻守のパフォーマンスは変わらないまま、ゲーム内のファウル数が有意に減少

筑波大学らの研究チームが学術誌『Computers in Human Behavior Reports』に発表した論文で、炭酸水の摂取が長時間のeスポーツプレイにおける認知疲労を和らげるという結果が報告されました。カフェインや糖分を含まない飲料での効果という点が注目されています。

🔬 実験の内容

  • 参加者は日常的にゲームをプレイする若年層14名(平均22.9歳)
  • サッカーゲーム「eFootball」をCPU相手に3時間連続でプレイ
  • 炭酸水(ウィルキンソン)を飲む条件と通常の水を飲む条件を、日を分けて両方実施するクロスオーバー設計
  • 飲用量は合計500ml(開始前200ml、以降の各セッション前に100mlずつ)
  • 主観的な疲労感・楽しさ、実行機能(フランカー課題)、瞳孔径、心拍数、血糖値、唾液コルチゾールを測定

📊 主な結果

項目 通常の水 炭酸水
主観的な疲労感 2時間以降に有意に増加 有意な増加なし
実行機能(反応の速さ) 2時間以降に低下 低下を抑制
正答率 3時間後に低下 低下せず
瞳孔径 2時間以降に収縮 収縮が見られず
ファウル数 有意に少ない
シュート・パス数 有意差なし
心拍数・血糖値・コルチゾール 有意差なし

楽しさについては両条件で増加したものの、炭酸水条件のほうが増加幅が大きい結果となりました。

🧠 考えられているメカニズム

瞳孔径は前頭前野の活動を反映する指標とされており、認知疲労が進むと収縮します。実験では瞳孔径の変化とフランカー課題の成績に有意な負の相関が確認されました。

研究チームは仮説として、炭酸水に含まれるCO2が喉のTRPチャネル(TRPA1・TRPV1)を刺激し、その信号が脳幹を経由して前頭前野の活動を高めている可能性を挙げています。ただしこの機序自体は本研究で直接検証されたものではなく、今後の基礎研究が必要としています。

ファウルが減った理由についての考察

実際のサッカーでもファウルは試合終盤の疲労時に増える傾向があり、認知疲労の実践的な指標になり得ると研究チームは指摘しています。攻撃的な行動を抑える抑制機能(inhibitory control)が維持されたこと、また負の感情の制御に関わる前頭前野の活動が保たれたことが、ファウル減少につながった可能性が挙げられています。

⚠️ 読み解く上での注意点

  • 比較対象は「通常の水」であり、カフェインやエナジードリンクとの直接比較は行われていません。SNS上では「カフェインより効く」といった紹介も見られますが、本研究はそこまでは示していません
  • 参加者は14名と、事前に見積もった目標人数(20名)を下回っています
  • 炭酸の刺激で参加者が飲み分けを判別できるため、完全な盲検化はできていません。期待効果やプラセボ効果の影響は排除しきれないと論文自身が言及しています
  • 対象は若年のカジュアルプレイヤーに限定されており、競技志向のプレイヤーへの一般化は今後の課題
  • 本研究はアサヒ飲料からの受託研究費で実施され、著者2名が同社社員です(研究デザインや結論への関与はないと明記)

カフェインや糖分に頼らない疲労対策の選択肢として注目される結果です。
長時間プレイの合間に炭酸水を挟んでみるのも良いかもしれません。

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